こちらも昔読んだものの再読。
昭和の文壇を代表する無頼派文人、壇一雄の生涯を配偶者の視点から語り、沢木耕太郎氏が編んだもの。
氏の最晩年を苦しめた病も肺がん。亡母の病状とよく似た描写など、以前読んだ当時は気に留めななかった部分も心に残ります。
それはさておき男、壇一雄。
文人・・・というよりも、こんな「男」の存在が許され、受け入れられたのも昭和という時代なのでしょう。
平成の世を包む道徳観や夫婦観、その他常識では、とうてい考えられませんが・・・。
今、当たり前と思っている常識は恒久的なものではなく時代によって変化してゆくもの。尺度、スケールってのは常に変化しているものなのでしょう。勿論、変わらないものもあるのでしょうが・・・。
思えば我が国も70年前(って私は生まれていませんが)。例のラジオ放送を境に、国民がそれまで生死をかけて奉信してきた「精神」は否定され打ち崩され、そしてその「精神」の牽引者であった方々は批判されました。
英米国民を「鬼畜」と呼びすて、竹ヤリで刺し殺すことが正義とされたのは、遠い過去の話ではありません・・・。
もっと身近に言えば・・・。
例えば飲酒運転。少し前までは、褒められたことではありませんでしたが、事故さえ起こさなければさほど咎められるものではなかった・・・筈。
例えば喫煙。昔の教職員室、列車内、待合室などは煙モクモクが当たり前。今や喫煙≒悪とされ20歳を過ぎたにもかかわらず、たかがタバコを吸うにも肩身の狭い思いをしなければならなくなった・・・という現実。
何が正しくて何か悪いのか?何が正解で何が不正解なのか・・・。
私ごときが考えてみてもよくわからないけど、一つ言えることは・・・。
昔読んだ本を読み返すってのは、思った以上に新鮮な感動を味わえる「作業」だということ。なぜならば・・・その経てきた時間の中で自分もそして世間も想像以上に変化しているから。
さて、今少し付き合ってみよう・・・。男、壇一雄の生涯に。 こちらも昔読んだものの再読。
、壇一雄の生涯に。