私同様、ソウルの街を愛してやまない友人に、お気に入りの本を貸し出していました。
写真右側、関川夏央著「ソウルの練習問題」。
80年代に書かれた古い本ですが、私自身にとってソウル、惹いては韓国文化への関心の扉を開いてくれた大切な一冊です。
80年代或いはそれ以前、韓国への渡航者と言えば、あの悪名高き「妓生パーティ」という名を借りた事実上の売春ツアー客が少なくなかった時代。私も韓国へ出かけた話をする度に、男性からは好機の眼で、女性からは軽蔑の眼で見られた時代。
「そのスジ」以外の情報が極端に乏しく、その視点に新鮮な驚きとともに隣の国への憧れを駆り立てられたものです。
そして先日、その友人がお返しにと貸してくれた一冊。旅作家「下川先生」がごく最近書かれたもの。
著者、作風そして年代も全く異なる二冊ですが、その両者に共通するある種の「匂い」を覚えます。旅を愛し、そして旅する国、国民を愛することのできる寛容さ、優しさが文面ににじみ出ている様に感じます。。
実際に旅をすることは中々かなわない現状。でも、夜のひと時、そしてお昼の休憩時間、こんな本と付き合ってみるのも、これはこれで充分豊かな時間と言えるでしょう。
住んでいる或いは住んでいた訳でもないのに心から離れない街がある・・・。皆さんの心の中には、そんな街ありますか?