市立図書館で借りた中の一冊。浅田次郎著「Black or White」
ワタシ的には久々の小説ヒット作です。
スイス、パラオ、北京、京都・・・各都市で見た「白」と「黒」の不思議な夢と現実が交錯しながらストーリーが展開されてゆきます。
さすが職人芸!そのストーリーもさることながら、作中で描写される「四半世紀前」の北京の街に、何とも言えない郷愁を感じました。
時は経済成長の「前夜」。胡同の路地裏、暗い夜、露天商、自転車の群、石炭の匂い、人々が生み出すざわめきと静寂・・・。
就航便も増え、ホテルや各施設など旅人にとってのインフラも整い、往時と比べれば格段に快適な旅を楽しめる様になった北京。然しその陰で失われた物は、もう二度と我々の前に戻って来てはくれません。
そう、ホー・チミンに行くことは出来ても、西貢(サイゴン)には行けない様に・・・。
中国でパーリンホウ(八十后)やジュウリンホウ(九0后)と称される若者たちが知らない中国の姿・・・。旅人のエゴと言われても仕方無いですが、あの頃の北京は・・・美しくそして・・・しとやかな街でした。
旅の夜に差し出される二つの「Pillow」。
Black or White、、、私ならどちらを選ぶだろうか・・・。