工場内のラジオは始業から終業時まで「ON」の状態。朝決めた曲にStay tuneのことが殆ど。聞くともなく聴いている状態。殆ど耳には残りません。でも、私にとっては重要な「生活音」です。
先日、FM曲で市内某大学の中国留学生(男性)にインタビューする番組が放送されていました。岡山での生活、将来の夢など話されており、しばし耳を傾ける。その内容はともかく、番組後半、リクエストを一曲・・・とのシーンで彼がリクエストしたのは・・・。
邓丽君(中国簡体字)、鄧麗君(中国繁体字)・・・アジアの歌姫、殊中華圏では老若男女、彼女の名前をブーチーダオ(知らない)って人はいません。この歌手をご存じでしょうか?
漢字で書くとピンと来ないかもしれませんが、日本では彼女をこう呼ぶ「テレサ・テン」。
年若い留学生の彼がリクエストしたのは、彼女の歌った大ヒット曲「愛人」。
私が中国に住んでいた80年代。テレサ・テンの曲は「当局」によって販売が禁止されていたと記憶しています。所謂「放送禁止」の音源でした。勿論、巷で入手できないワケではなかったのですが、あくまでそれはアングラの物。少し経って規制は解かれた様ですが、今度は「天安門事件」の民主化運動を支援した・・・との事で再び彼女への風当たりが強くなりました。
因みに韓国に於いても日本の芸能(歌謡曲含む)が自由に放送、販売出来るようになったのは2004年のこと。まだ非常に歴史が浅いと言えます。
中国人留学生が日本で放送局のインタビューに自分の「ことば」で答え、語り、そしてテレサ・テンの曲をリクエストできる時代。番組を聴きながら中国の変貌の一端を感じさせられました。
と、同時に自由に世界の音楽、映画などの芸能を享受できる現代の日本に生きていることに感謝しました。