遅ればせながら・・・ではありますが、話題の著書「君たちはどう生きるか」をD氏からお借りし拝読いたしました。
既に読まれた片も少なくないと思いますが、老若男女を問わず一読に値する一冊だと思い知らされました。
おそらく著者は、青少年に向け道徳観念を訴えるべく記されたと思われますが、子育て中、或いは近い将来、子どもを育ててゆく日を迎えるであろう成人諸君にも是非ご一読いただきたいと感じました。勿論、人生の後半戦を迎えつつある我々には自身の生涯を振り返り、その曇り濁り多かったことに気づかされます。
内容は特別な「教え」ではありません。世間に対する観点、貧しきに向き合う姿勢、人間同士の関係について、学問を修める意義・・・むしろ人間が本来持たなくてはならない「品格」を支える思考、思想でしかありません。然しその本来「特別なこと」ではないそれらは慌ただしい日常の中で、薄れそして忘れさられている。そして人として本来持つべき気概を無くしても日常を送れてしまうという事実・・・。
その他にもコペル君と命名?される由来となった天文や化学の話、ナポレオンの生涯、仏教や仏像を通して語られる世界史等々、無学な私にとっては学びの実り多い読書となりました。
この本を読んで、どれくらいの子どもが、どれくらいの未来を変えられるだろう?しかしその前提として・・・子ども達がこの本を手に取る機会を与えられ、その言葉に引き込まれ感銘を受ける素直な感受性を持てるか否か。それが重要なのかと思います。
即効性がある分、その消滅も早いデジタルデバイスを通した情報に依存させられてしまった現代人。活字離れが加速度的に進んだ現代社会では「親」と呼ばれる大人世代も既にその例外ではありません。大人がもっと本を読む習慣を取戻し、良書に出会える、そして良書を語り合える環境を作る必要があるのではと考えます。