出勤途中にある池の畔。朝からの雨も厭わず今日も釣り人が竿を伸べ糸を垂れていました。見たところ高校生らしき年頃の男子。恐らくは卒業式も終わり、登校も不要。新たな「春」に向け、つかの間の執行猶予を謳歌している・・・といったところでしょう。
然し冷たい雨に打たれながらの釣り。好きな事だから、趣味だから。とは言え、それくらい好きなことがあるってことが羨ましく感じました。
そんな姿を見ていると今回の芥川賞受賞作の一つ若竹千佐子著「おらおらでひとりいぐも」の中の一節が思い出されましたのでご紹介。以下抜粋・・・
「・・・・他人には意味も無く無駄とも思えることでも夢中になれたとき、人は本当に幸せなのだろうと思った・・・・」
夢中かぁ・・・なるほどね。何かに夢中になれるってのは、確かに幸せなことでしょう。
ところで・・・
その池の先に続く小道(私の通勤路)南側の雑木林が切り倒され、昼なお暗かったその路が、すっかり明るくなってしまいました。
近年は新しい道路が通り、開発の進んだ近年でも取り残された一角でした。そこに根付いた木々が季節ごとに表情を変え自然のトンネルを作ってくれた場所。私にとってはちょっと残念。
葉っぱが風に擦れ合う音や、雨を貯め滴らせる水の囁き、初冬から始まる落ち葉の絨毯・・・好きだったんですけどねぇ。気の遠くなるような自然の営みも、ヒトの作った鉄の爪にかかれば二日で消滅です。
まぁ、時代の流れ仕方なし。だって今私が住んでいる団地も、高度経済成長以前は、その殆どが果樹園だったのですから(笑)。ヒトが活きると言うのは残酷なものです。
さて、雨の木曜日。心湿ることなく乗り切りましょう!
「幾とせと 生を育み見守りし 雑木林も 二日で消えゆく」byかずさん