バルダンギン・ツェベクマさん著・・・「星の草原に帰らん」。
モンゴル系の民族、ブリヤート人女性の半生を綴った自叙伝です。
故司馬遼太郎氏の著作に親しまれた方には見覚えのあるお名前かと存じます。私も氏の著書、「草原の記」、「街道をゆくモンゴル紀行」の頁中では何度も「お会い」した方ですが著書を拝読するのは初めて。連休中、出向いた図書館で借り出した中の一冊です。
かつて司馬氏がモンゴルを訪れた際、通訳を担当したのが当時ウランバードルホテルの従業員だったツェベクマさんでした。旅中、彼女の人柄、そして半生に敬服した司馬氏が、ご自身の著作を通して世に出された方だったと言えるでしょう。
まだ読中ではありますが想像以上に壮絶な人生だったと改めて驚嘆。...
岐路や行く先が自分の意思ではなく、時代の流れ、政治の潮流によって翻弄された女史の生涯。ツェベクマさんは決して特別な人ではなく草原に生まれ、ソ連、中国、モンゴルで様々な仕事を経験し、引退した後は草原に帰った一人の女性であること。生まれる時代、場所によって、人の半生とはかくも大きる変わるものかと思い知らされ、一見さらりと書き下している一文の中にも、その時、流されたであろう涙や血の滓を感じさせられます。
私にも恐らくはあと暫く残されていると思われる人生の時間。ここから世の中がどう動き、そして自身がどのように流されてゆくのだろう。
別に過大な欲や希望とてあるわけではなく、流れに抗うつもりもありません。まぁ、今日まで生きてきた半世紀同様、ほどほどの「プログラム」に乗っかって人生の終盤を過ごせ、終えられるのならば何も言う事ないんですけどね、果たして如何に。
「読後」感想文は又、次回・・・。