先日、高齢者施設の前「ご自由にお持ち帰りください」の中からいただいた一冊。
渡辺淳一著「浮島」。酔っ払っていたとは言え、まぁ、なんでこの本を持ち帰ったのか自分でもよく分からないんですけど(笑)。頁数的にも気軽に読めそうなのでサラッと・・・。
まぁ、氏の著の多くはある意味「私の知らない世界」の話。本著も中年のバツイチ男と二十歳代の女性がインドネシアを旅する話。世の中にはそんなことも有るのかもしれませんが、なんだかねぇ。こういう男女関係には昔から或る種の嫌悪を感じます。
タイトルの「浮島」・・・。作中のバツイチ男にとって帰路の機内から眺め見た島々が二人で過ごした数日、その間に行き来した感情の微妙なすれ違いに「浮島」を感じ、重なったのでしょう。しかし、もし私がその「男」なら、作中後半、同世代の現地男性と笑顔で語り合う姿に「浮島」を感じるだろうなぁ、などと推測。尤もそんなシチュエーションは起こることないですけどね。
そして作品が世に出されたのは80年代の半ば。ホテルでも機内、空港でも喫煙と言う行為を咎められなかった時代。そしてインターネットやらケー
...タイ、スマホが普及する前の時代。時の流れ、隔たりを感じます。然しながら個人的には、小説の世界にケータイやらスマホが「登場」する様になって物語が陳腐になった気がしてなりません。人間関係そのものにも当てはまるのかもしれませんけどね。以上あくまで個人的意見。
因みに氏の著書の中では「遠き落日」がお勧めです。偉人伝風に語られがちな故野口英世氏の生涯を違う角度から見つめ描いた長編です。学生諸君も「浮島」を読書感想文には選ぶべからずですか、「遠き落日」なら、中々に面白い選択かも・・・ですよ。