現在、司馬遼太郎著「峠」を再読中。主人公の河合継之介が放つ人としての美、計りしれない胆力に触れることも然ることながら、下巻では現一万円札の肖像となる福沢諭吉、新しく採用される予定の渋沢栄一氏も登場します。半世紀以上前に執筆された中で、お二人にお会い出来たことに、ほくそ笑みながら耽読しておりました・・・が。時代背景そして司馬氏特有の熱に些かの疲れを感じ、今朝はコチラの頁を捲りました。残念ながら・・・年齢のせいでしょうかねぇ。
以下は勿論、個人的な感想ですが・・・。もしかしたら星の数ほどもいらっしゃるかもしれない「現役」作家の中でも、氏の放つ光は等級の異なるものと感じます。
例えば冬空のシリウス、例えば春のスピカ・・・。以前、エッセイの中で氏は短編を執筆することを「血を吐く」ことに似たりと例えており、その「血を吐く・・・」様に苦しむことを、むしろ「好き」だとも記されていました。この辺りは天分と才を得た者だけが感じられる境地なのかもしれません。
「道に舞う」、「胸の香り」、「ホットコーラ」、そしてこちらには掲載ありませんが「幻の光」・・・。氏の経て...きた人生の片鱗も散りばめられたと思われる宝石の様な作品群に触れながら改めて感じ入りました。
「いや~、文学って本当に素晴らしいもんですね~」←水野晴郎風(笑)