昨日の昼食は、ヒデさんから差し入れいただいた蘭州牛肉拉面の即席麵をいただきました。
蘭州牛肉ラーメン・・・。近年、東京や大阪でも供する店が開店し、繁盛しているとのことですが、地方での知名度はイマイチでしょうか?
中国では蘭州と言えば牛肉ラーメンであり、牛肉ラーメンといえば蘭州を連想しない人はいないと思われます。中国留学中も含め、その後も訪中の度にする度に先ず食べたい!と思わせるもののひとつでした。
蘭州は甘粛省の省都。そしてシルクロードの実質的入口。そしてラーメンブランドとしての蘭州は、日本で例えると、讃岐うどんの「讃岐」と似たものか。
1987年の夏、私も新疆ウイグル自治区への旅の途中、蘭州に足を留めています。その時に買ったのがコチラの市内地図。あの当時は街に到着して先ず必須だったのが地図を買い求めることでした。その地図にはバス路線、観光案内、各施設の電話番号などが記載されており、旅行者のバイブル「地球の歩き方」以上に価値のあった唯一とも言える情報源でした。
洛陽を出て北京へ。そして内モンゴルから曾ての西夏の都でもあった宁夏,银川と旅して蘭州へ。硬座(3等席)の長旅でクタクタになった体にムチ打って駅前の小売部(キオスク)で地図を買い、バス路線を確認して、とりあえず蘭州飯店へ向かったのを覚えています。
希望していた多人房(ドミトリー)へ投宿し、与えられたベッドに体を預け小休止。暫く眠った後、午後の街へと歩を進めました。
再度、ホテルから駅まで歩きだそうとしたところ、すぐ前のロータリー交差点近くに「牛肉拉面」の看板を発見。迷わず入店し四两(大盛り)のラーメンを注文しいただきました。
元は白かったであろう外壁が埃で汚れ灰色になった小さな店舗の様子、蘭州でラーメンを喰っていることに自己陶酔しながら食べたことを今も覚えています。
駅は相変わらず大勢の人人人・・・。その人の波をかき分け售票处(チケット売り場)の中に入り、烏魯木斉方面行き窓口の列に並んで順番を待ちました。
列外で切符を掲げ声を張り上げる人がチラホラ。余ったり不要となった切符の転売を希望する人たちです。その中に2日後の烏魯木斉行き、硬卧(二等寝台)の切符を売るオッサンがいました。値段を尋ねてみると、正規の運賃だったこともあり、列から離れて商談開始。日付と真贋を確認して取引終了。キャンセルしたら、手数料を引かれるので、オッサンにもメリットがあったのでしょう。
滞在中、街の北を流れる黄河を見に出かけました。黄色い竜とも例えられる大河。留学先の河南省でも黄河を見て感動しましたが、その地から遥か遠く離れても、同じ河が同じ色で存在していることに自然のスケール、中国の大きさを思い知らされたものです。
蘭州から乗り込んだ車内ではその後もお付き合いが続いた方との忘れられない出会いもありました。そんな話まで始めるとキリがないので・・・。
即席めんを頬張り目を閉じると、忘れていた記憶も沢山浮かんできました・・・。
ホテル近くの大学の喧噪、学生たちの歌声、夏なのに暗く冷たく冷え切ったレセプション、ラーメン屋のガタつく机、そして列車内で夜通し語り合ったWさん・・・。
遠き記憶。平成の更に前、昭和が最終章を奏でた時代に遠く離れた蘭州での数日間。そして新疆へ。あの約2か月に渡った旅は私の人生に焼けつくような記憶と感動を刻んでくれた気がします。
写真は当時の地図。今もたくさんの当時の地図を保有しております。