自室の書架に収めている文庫本にも荷風の短編が掲載されていたのを思い出し再読・・・
「ひかげの花」。何事もクリーンかつジェンダーフリーの現代からすれば、そのあらすじ、内容は時代を感じさせられます。表現の軽やかさ、人情の描写が素晴らしい!ただ売春、賤業婦などという言葉を聴いただけで生理的嫌悪を覚える方は読まれない方がよろしいかと。
しかし、読み返してみると魂の震えを覚える秀作揃い。さすが宮本輝氏の選!堀田善衛、国木田独歩、泉鏡花、永井龍男・・・。読中、読後、おもわず溜め息が出てきます。
以前、その道の大家(お名前は忘れましたが)、
「良い文章を書きたければ昭和の文学を読め!」
てな意味の言葉を叫ばれていました。確かに、その通りだと思います。何故か?おそらくは・・・
インターネットもワープロも無かった時代。執筆とは書き手の持つ知識と、それを貯め込む為に費やした労が紡ぎだす「力技」だったからではないでしょうか?現代以上に。
書く、、、という行為に費やされたエネルギーの差。その差が個性であり、力量と言えたのかも。よくわからんけど。
魂がふるえるとき・・・。人として生まれ、どのような対象にその魂を震わされるのか?自覚の有無に関わらず、その「震源」は人生を大きく左右するのでしょう。
微震?ながら、私の心も揺さぶってくれた文学という対象に感謝しつつ耽読・・・。