読書の幹が関心の枝を広げる・・・そんな調子で柄にもなくこんな本を読んでいます。
マチネの終わりに(平野啓一郎著)。
もうすぐ映画も公開されます。スクリーン上では天才ギタリスト蒔野聡史を福山雅治、ジャーナリスト小峰洋子を石川ゆり子が演じるとのこと。
それはそれとして・・・。
中年の域に差し掛かった大人の二人が紡いでゆく恋愛感情の描写には、深く感じ入るところがあります。
勿論、これからも自身が恋愛という感情の渦の中に時を過ごすことはありませんが、もし・・・もし、同様の立場だったなら、人生を積み重ねてきた経験値の「補正」が影響し、若い頃の様なストーリーでは男女関係が進行し無い筈。それなりに色々考えてしまうでしょう。
物語はまだ序盤。さてこれからどんな展開となるのか?物語、そして登場人物の心の「揺れ」を楽しませていただきます
以下抜粋・・・
「・・・なるほど恋の効能は、人を謙虚にさせることだった。年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいと言う情熱の枯渇より、愛される為に自分に何が欠けているかという、十代の頃なら誰もが知っているあの自意識の煩悶を鈍化させてしまうからである。
美しくないから、快活でないから、自分は愛されないという孤独を、仕事や趣味といった取柄は、そんなことはないと簡単に慰めてしまう。そうして人は、ただ、あの人に愛されるために美しくありたい、快活でありたいと切々と夢見ることを忘れてしまう。しかし、あの人に値する存在でありたいと願わないとするならば、恋とは一体なんだろうか?・・・」