ウォーキングの途中、背の高い紫の花を何か所かで目にします。
名前を調べてみると「キダチダリア」。皇帝ダリアともいう植物らしい。
花の名前や佇まいからして、夏が似合いそうですが元々高地と短い日照時間を好むらしく、日本ではこの時期に開花するのでしょう。ダリアと言えば・・・。
学生時代、「近藤紘一」氏の著書を読み漁った時期があります。
元産経新聞の記者でインドシナ情勢などに関するノンフィクションやルポルタージュ、エッセイを残し享年45歳で他界されました。
私が氏の本と出会ったのは亡くなられた後。「サイゴンの一番長い日」が最初の一冊でした。
ベトナム戦争を取材するため当時のサイゴンで暮らし始めた近藤氏。友人の紹介で一人のベトナム人女性、ナウさんと出会いました。その第一印象を著書の中で、
「ダリアのような笑顔を持った・・・」
と記されていたことを思い出しました。
その一節が印象に深く私にとってダリアとは南国であり夏の花と連想されてしまうのです。
その後、ご結婚され、連れ子のミーユンちゃんと3人での生活が始まりました。各著書の中でその生活模様が描写されており、当時、未婚だった私の中では
「国際結婚もアリじゃな」
と有る種の憧れも感じていました。
今の妻と出会い結婚して早や26年(おそらく)が経ちました。初めて会った時の印象・・・。どう感じたのでしょう。思い出せませんが、少なくとも「花」に譬える程の感性は私の中に存在しなかったようです。
因みに葬儀の席で弔辞を読んだのは、司馬遼太郎氏でした。近藤紘一が「書き手」として、どれほどの才能を有し、その発散を切望されていたのかを表していたと言えるでしょう。