今朝の「天声人語」でグリュウワインが取り上げられていました。
欧州では広く愛される冬の飲み物。日本での知名度はいまひとつと言えるでしょうか。
赤ワインに丁子などスパイスと砂糖を入れ沸かしていただく。寒い屋外でも芯から身体を温めてくれるそうです。
私自身は飲んだことがありません。しかし宮本輝氏の著作「異国の窓から」の中で取り上げられているのを以前から拝読していました。そうか、いよいよ日本でも脚光があたるかも・・・[グリュウワイン]。
因みに「異国の窓から」は1991年が初版。後に執筆することとなる「ドナウの旅人」の取材旅行の模様が綴られたものです。
インターネットやケイタイ電話が普及する以前。しかも旅の舞台は東欧。ベルリンが壁崩壊した後とは言え、事前に把握できた情報量は非常に限られていた筈。殊に宮本氏は「行き当たりばったり」で旅をされる流儀らしく、ハプニングの連続です。しかしそれが読者の心を惹きつけてくれるのです。
ハプニングから生まれる出会いや感動が「ドナウの旅人」を含め以降の作品に数多く散りばめられているのを見つけられます。
「葡萄と郷愁」、「彗星物語」などが思い浮かびます。
氏は随筆の中で、一つの下駄から、その鼻緒の色からでも物語を生み出すことが出来る・・・のような内容を語られていました。氏にとってハプニングが連続する旅の空の下でグリュウワインは最高の土産になったと言えるでしょう。
私にとってそんな一杯は・・・。
内モンゴルや新疆で毎日何杯も飲んだ(飲まされた?)ミルクティーでしょうか。
モンゴルでは「スーテーツァイ」、ウイグルやカザフの方々には「チャイ」と呼ばれる飲み物。
茶葉と乳、岩塩を入れて煮込むしょっぱいミルクティー、それが思い出の一杯かと。
私の愚脳ではその味から物語を紡ぐことなど出来ませんが、スーテーツァイを飲みながら若かりし日々を邂逅してみたいものです。