新型コロナウィルスの蔓延で国内外の様々な問題点や暗部が見えてきました。
社会の不条理や差別、格差などイデオロギーを超えた部分で日々驚愕したり溜め息をついたり・・・。
その中でも全てのフェースに於いて超大国と思わされ続けたアメリカという国の脆さは想像を超える次元で思い知らされる結果となりました。数字と言うのは残酷です。
騒動以来、重版に次ぐ重版となっているらしいカミュの「ペスト」を読み返しています・・・って言っても実は若い頃に挫折して読破に至ってなかったのです。
随分昔、古本屋で求めたものですが、前所有者による手書きの登場人物一覧が挟みこまれており、更には要所には赤、青二色の罫線が引かれています。色別にしている意味は計りかねますが・・・。キレイな本をご望まれる方には不向きですが私はとにかく「読めればいい」派なので、この様な加工?は歓迎です。
未だ途中までなので読み終えた後の感想は述べるに叶いません。しかし前半から中盤までで思い知らされるのは、閉鎖的環境に置かれウィルスと向き合う人間たちの心理、そしてその変化は時代や国を越えて今、正にこの星で起こっている状態にぴったりと重なります。
物語では閉鎖されたのがアルジェリアのオランという港町に限定されています。この度、我々は現在、地球規模での鎖国が求められ実行されている状況です。舞台の大きさがちょっと違います。
今朝の朝日新聞「天声人語」はデフォーの綴った同名の小説「ペスト」について書かれていました。昨日の同紙面上でもありましたが中世ヨーロッパに於いてはコレラ、ペストレベルの病が流行すると、その国の国民の三分の一、場合によっては半分が死に至ったとのこと。我々も大変な時期を生きているのは間違いないのですが、今は「進化した医療」という武器を以て立ち向かえることは幸せだと言えるでしょう。
両作以外にも古来よりウィルスとの戦いを主軸に置いた文学作品は少なくありません。
スマホで動画を見たり、オンラインゲームに興じて時間を潰すのも良いですが、こんな時期だからこそ過去を生きた人々と対話するつもりで読書に励んでみるのも心への響きが異なる筈です。
写真は・・・通勤途中に咲く姫踊子草です。
踊子と聞けば川端康成の伊豆の踊子、或いは森鴎外の「舞姫」などが連想されます。
そう言えば鴎外は医師でもありました。今もし鴎外が生きていたならば、この現状をどの様に受け入れ、どの様に記録するのだろう・・・とか想像しながら。とりあえずはペストの読破を目指します。
「踊子草エリスも斯くの如しかと」byかずさん