コロナ禍の中にも季節は進み今年も赤花夕化粧の咲く季節になりました。
通勤途中の休耕田でもナガミヒナゲシやマツバウンランと一緒にその美を競っています。
いつもなら中学校への通学路でもある小路。しかし若い彼らの姿は見えません。時おりすれ違うのは、テレワークなど叶わぬ職種に従事されているのであろう出勤者たち。その中に私も含まれるのですが。
先日の新聞で目にした記事に因りますと、感染の著しいニューヨークでも、地区ごとの感染、収束の速度に違いが見られたとのこと。出勤の自粛が可能な比較的裕福な人々が住んでいる地区では新規感染者の減少が進み、反面、経済的に恵まれず仕事も休めない人々が住んでいる地域での増加が止まらない・・・。
皮肉にもコロナ禍が社会の暗部に光を当て不条理を焙りだしたと言えるでしょう。
不条理・・・。これは現在話題となっているアルベール・カミュが「ペスト」を含む各作品の中で訴え続けたキーワードの一つです。
何もかも理想通りに進むことはムリだし、その為の社会制度に絶対的な正解はありません。然し、私たち人類が特にこの近代以降、何かを「誤った」、そしてそれに気づかなかった、気づかないふりをしていたことは事実だと認めコロナ後の社会を構築すべきでしょう。
私たちに出来ること。今は・・・マスクをすること、消毒を徹底すること、そしてもうひとつを挙げるならば「過去に学ぶこと」。
今、「ペスト」を含め古典を読むのか、読まないのか・・・。好き嫌いではなく、その姿勢こそが知性や人生観、個人の哲学に現れるのでは?とさえ感じます。
長い小説ではありません。しかし翻訳文学故の難解さも手伝って読破するには相当の時間が必要になります。StayHomeの時間を埋めてくれると思いますよ。