
昨日は県北部に出向く私用があり、そのついでに、、、と言うと失礼かもしれませんが、早めに出発して母方の先祖のお墓を参ってきました。
山一つ向こうは違う県という奥まった過疎の村。数年前まで山の世話をしてくれていた遠縁にあたる叔父さんも施設に入所され、墓までの小径も荒れ放題。小雨の降る中、ズックをビショビショにしながらたどり着きました。途中の沢ではサワガニを踏まないように注意して、、、。
祖母は私が物心つく前に50代で亡くなっており、その姿の記憶はありません。祖父は私が中学生になっても存命で、今思えばその暮らしぶりは「仙人」の如くあったようにも感じます。
若い頃は関西方面へ出稼ぎにも行ったらしいですが、子供たちが巣立って以降、仕事は最低限の現金収入を得るための日雇いに出る程度で、原来、田畑を持つでもなく、囲炉裏の端で近所のおじさん達と酒を飲みながら晩年を過ごしていた様子です。
同じ集落に住む親戚筋から、その突然の死を報せる電話が届いた折に母が泣き崩れ、狂乱に近い状態になった姿を今も忘れることはできません。
戦争から復員した後、金も力も持たず世の中を「うっちゃる」が如くに生き、消えるように去っていった祖父。しかし人に愛され、子どもたちに慕われた潔い生涯は人として理想の「生き方」だったとも思えるのです。
本を読むのが好きで一番の愛読書は林芙美子の放浪記だったとか。もう一度、会いたいと思う物故者、、、。私が成人する後まで存命し、酒でも飲んで語り合えたなら、私の人生感も違ったものとなったかもしれません。
そんなことを思いながら私にとっても原風景である山村の景色、その景色から立ち上がる様に香ってくる山の匂いを吸いこんで集落を後にしました。
さて、次はいつのことになるやら。