久しぶりにGyaoのサイトで映画を鑑賞しました。「ひと夏のファンタジア」
2014年に劇場上映された作品なので、6年前のものになるんですね。
監督はチャン・ゴンジェ、プロデュースが河瀬直美、主演女優は김새벽(キム・セビョク)当時28歳・・・。
韓国では様々な受賞の栄に浴したそうですが日本で高評価を得た作品とは言い難いようです。しかし私にとっては青年期の思い出も重なり心に響く作品でした。
奈良県の五條市などが舞台となり、それぞれ約一日の間に起こるエピソードが2幕に分けられて展開されます。前半はモノクローム、後半はカラー。キム・セビョクは一人で二役を演じています。共に日常会話程度の日本語を習得した韓国人という設定。おそらく本当は相当のレベルだと察しますが。
上記の通り、この作品が心に響くか否かは青年時代人、母国語の異なる異性と恋愛の「かけひき」をされた経験があるかどうかによって大きく左右されるのかもしれません。
私も今を遡ること30年・・・。当時、中国語をそれなりに学習していた積りですが、細かい感情の機微をやり取りできる程の語彙や表現力はありませんでした。或る種のバランス感覚やニュアンスを「直球」だけで伝えることは困難です。その歯がゆさ、もどかしさは「微笑」でごまかすしかない・・・そんな悔しい気持ちを抱きながら過ごした日々も今となれば懐かしい思い出です。
そしてもう一つ、印象深かったのは、二幕目でヘジョンを演じるキム・セビョクがタバコを吸いながら休憩している日本人男性に「私にも一本」と、タバコを貰い二人で吸うシーンです。
韓国でも日本と同様、女性の喫煙率は上昇傾向ですが、公衆の目に触れる場所で女性がタバコを吸うことは、一般的ではありません。おそらく観光旅行などで訪れても所謂「夜のお店」以外で女性の喫煙シーンを目にされることは、まず無いでしょう。
ところで、セビョクさんのセビョク・・・ハングルでは새벽と表記され「黎明、明け方」という意味のハングル固有語です。韓国、朝鮮の方のお名前には漢字由来が圧倒的に多いのですが、女性ではときどき固有語由来のお名前をお持ちの方がおられます。ハヌル(空)、ソラ(サザエ)、アルム(美しい)、イスル(露)・・・個人的には漢字由来よりも暖かく柔らかい感じがして好きですけどね。
ご興味の有る方はご覧ください。ひと夏のファンタジア・・・。
この夏、多くの若者達に「ファンタジア」な日々が訪れますように。