最近、レッスン前に立ち寄る古書店で求めた一冊…開高健のエッセイ集。破れた繭
氏の文章を読んでいつも感じるのは、その飛び抜けた思考回路の回転速度に筆が送れまいと足掻いている様な騒がしさである。
残念なから凡庸に生まれ育った私は終始「駆け足」しながら文面を追いかけることとなる。しかし駆け足しながら、時に息切れを感じながらでも追走したくなる魅力に満ちている。素晴らしい!オーパ!
その中でも戦後の闇市で飲み屋の手伝いをしてた友人との邂逅、そして生涯の友人となった谷沢永一との出会いや行き来について書かれた件は秀逸であり心を打たれた。そもそも薄い文庫本ではあるが、この数十ページに目を通せただけでも百円の何倍に換算すれば妥当なのか分からない程の大きな価値があった。あくまで私にとっては…である。
写真はその一部を抜粋。谷沢にいきなり絶交を言い渡された時の開高健少年の心境。確かにそうだ。人と人とが長く繋がることの難しさを改めて感じながら何度も読み返した…。